とっておき!!TOKYO

東京のおいしい店、いい店、安い店。ここは私の“とっておき!!”と、日々の些細な物事に感じたことをご紹介する場所です。

【とっておき!!】 ムルギー(カレー・渋谷道玄坂百軒店)

   

 

なんと、ライスがこの高さでそびえ立っています。

実を言うと、この店にはもう行くことはないだろう、と
思っていました。

この店に最初に行ったのは3年ほど前。
「渋谷とっておき!!」を開設しようと考え始めていたときの
ことです。当然、老舗として有名なこの店は真っ先に
行くべき店のなかに入っていました。

しかし、当時は違っていたのです。
おばあさんが一人だけの薄暗い店内、ガタガタの調度、
そして昼過ぎだというのに客はだれもいないのです。

そして出てきたカレーは香りも辛さもありませんでした。
奇妙にとんがったライスの峰だけが印象に残る、
それだけのカレーだったのです。

以来、この店は私のなかでは”終わった店”に
位置づけられ、まったく関心を持ち得ませんでした。

ところが、掲示板でのみなさんの評価をはじめ、最近
急に、この店に対する良い評価を耳にするように
なってきました。

いったいなぜなんだろう。

その疑問を胸に訪れたのが今回のムルギーでしたが、
まず、入ったときの第一印象が違いました。

客がいるのです。たくさん。

しかも店内に立ち込めるのはスパイシーな香り。

薄暗い店内、ボロボロの調度は同じはずなのに、
ただそれだけで違う世界のように見えるのです。

そして、味も変わっていました。

頼んだのはムルギーカレーの辛口。
さらっと液状のカレーで、スパイスの香りが豊か。
唐辛子だけではない複雑な辛さがありながら、
なおかつ深いコクがしっかりとあるのです。

何がこの店を変えたのか。

前回との最大の違いは、若い女性がこの店を取り
仕切っていたことです。この女性、いかにも働き者と
いった雰囲気で店内にいつも目を配り、時にはカレー
ソースの入った大きな寸胴を持ち運びしたりして
頑張っています。

もしかしたらこの女性の存在がムルギーの味を変えた、
または、かつてのムルギー味を取り戻させたのかも
しれません。

帰り際、彼女に、店の名刺のようなものはありますか、
と尋ねたところ、彼女は「すみません、名刺は切らして
いて…。その代わり電話番号を書きますね」とメモに
この店の電話番号と営業時間、定休日をサラサラと
書いて渡してくれました。

なにごとにも一所懸命なひとのカレー。
それがいまのムルギーの味の秘密なのかも
しれません。

 

 

 

この文章は「渋谷とっておき!!」からのものです。
http://www.totteoki.jp/shibuya/

 

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