とっておき!!TOKYO

東京のおいしい店、いい店、安い店。ここは私の“とっておき!!”と、日々の些細な物事に感じたことをご紹介する場所です。

【ねごと。】続・絶海の孤島。

   

小笠原諸島の人々に、「ウチよりも”絶海の孤島”にふさわしい」と
言われてしまった青ヶ島。

目くそ鼻くそと思ったのですが、実際に調べてみると
たしかにこの島の”絶海の孤島っぷり”はなかなかのものです。

 

 

伊豆諸島の南端に位置する青ヶ島は、人口わずか200人足らず。
島全体がひとつの村・青ヶ島村となっていて、東京都に属しながら
日本でいちばん小さな地方自治体となっています。

青ヶ島のある場所こそ「八丈島の南70km」という近さで、
“絶海”と言うにはちょっと物足りないスペック。


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しかし八丈島との間の定期船は平日の毎日運行にも関わらず
10便に4便以上が欠航するという低い就航率。
冬は2週間以上も船が来ないことがあるといいます。

というのも、この島のある海域は黒潮の通り道。

潮の流れが速く、海はいつも大きくうねっています。
小笠原航路で、おがさわら丸が大きく揺れるのも
たしかにこの海域です。

人を寄せ付けない海、という意味では立派な”絶海”と
言えることでしょう。

また、島そのものの形が火山の火口そのもの。

島全体が二重カルデラとなっていて、
住民は外輪山の縁にへばりつくようにして住む状態。

島の周囲はすべて50m以上の断崖絶壁となっていて、
砂浜はおろか、大きな船が接岸できる港もありません。

まさに”絶海の孤島”と呼ぶにふさわしい島のようです。

しかもこの島には、”幻の焼酎”があります。

青ヶ島焼酎、略して「あおちゅう」。

かつてこの島の主食だった”かんも”・サツマイモを原料とする
あおちゅうは、かつて、各家庭で勝手に作られ、島内だけで
消費される”幻の焼酎”でした。

そして、国税当局もこの絶海の孤島に渡る時間とコストに対し
納税額がまったく見合わないために事実上黙認してきたという
いわば公認密造酒。

現在でこそ共同醸造場が作られ、各家庭で作られることはなくなり
ましたが、それでも10人ほどの杜氏ごとに違う醸造タンクで仕込まれ、
それぞれの”家庭の味”がいまも守られています。

このあおちゅうの特徴は、他の地域では絶えた古来の製法で
つくられていること。

全国各地の焼酎は芋・麦・米など多様な原料から作られますが、
実は発酵の要である麹はほとんどすべて米を原料とする米麹。

しかしこの島の焼酎は麦麹を使い、しかも家庭にいるカビを
そのまま麹菌として利用するという非常に原始的な製法なのです。

なかでも「伝承」ブランドなど一部のものは、生産者自らが作った
芋や麦を使い、昔のままの製法にこだわって生産されているため、
密造酒時代のあおちゅうそのまま。

私も実際に浅沼キミ子さんという、普段は民宿と農業を営む
80すぎのおばあちゃんが造ったという一本を取り寄せてみましたが、
その独特の”セメダインのような香り”は強烈。

しかし口に含んでみると芋の香りが口いっぱいに広がって甘く、
なかなか病みつきになりそうな味。直売でも700mlで3,000円ほどと
焼酎としては高いですが、一度飲んでみる価値はあると感じました。

また、もうひとつ青ヶ島には知られざる美味が。

「島だれ」と呼ばれる調味料です。

醤油をベースに味噌、唐辛子などを合わせて作ったもので、
なかなか辛くておいしいたれとなっています。

青ヶ島ではこれを刺身につけて食べるとのこと。

隣の八丈島では刺身を食べる際、わさびの代わりに唐辛子を使うとは
聞いていましたが、青ヶ島では島だれで食べるのが普通なのだそうです。

この島だれ、先日の「東京愛らんどフェア」で売っていたものですが、
3種類置いてあったもののうち、この「マツミおばちゃん」ブランドのものが
いちばん辛く、島の人が実際に作って自分たちで使うものに近い
とのこと。

たしかに刺身も普通にわさび醤油で食べるよりも飽きが来ませんし、
肉や野菜など様々な素材に合いそうな万能調味料となっています。

これは掘り出し物でした。しばらく手放せなくなりそうです。

伊豆諸島・小笠原諸島の特産品の通信販売サイト「東京愛らんど」でも
販売していないため、なかなか入手は困難なようですが
これもまた一度は試してみる価値のある一品です。

堂々の”絶海の孤島”っぷりに、知られざる酒と美味。

青ヶ島はいつかぜひ行ってみたい島になりました。

 

 

 

 

 


この文章は「とっておき!!のねごと。」からのものです。
http://www.totteoki.jp/negoto/

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