とっておき!!TOKYO

東京のおいしい店、いい店、安い店。ここは私の“とっておき!!”と、日々の些細な物事に感じたことをご紹介する場所です。

【ねごと。】 日本でいちばん切ない別れ。

   


東京都でありながら亜熱帯という、小笠原諸島・父島。

都心との距離は1,000kmもありながら飛行場はなく、
片道25時間半もかかる船がほぼ唯一の交通手段。

それだけにこの島の「別れ」は、現代の私たちが
もはや想像できないほどつらくて切ないものがあります。



定期船「おがさわら丸」が出航するのは、ほぼ6日に一度。

この日、島の波止場には大勢の人が見送りにやってきます。

多いときには300人以上はいるかと思うほど。

島の人口が2,000人あまりですから、その盛大さがわかります。


島を離れるほうの人々もまた、ほとんどがデッキに出て手を振り、

別れを惜しみます。


片方のデッキに人が集まるため、船はその重さで傾きます。

上の写真でも、船の下の赤い喫水線で傾いているのがわかります。
 

そして3月は、島の人々にとっては特別な別れの季節。

島でたったひとつの高校・都立小笠原高校の卒業生たちが、

みんな島を離れ、旅立っていくのです。

新幹線や飛行機ですぐ戻れるわけではないこの島では、いったん

島を離れてしまうと、なかなか帰ってくることができません。

なかでも就職する子は長い休みが取りづらくなるため、

彼ら、彼女らはほとんど島に戻ることがなくなってしまうといいます。

まさに「今生の別れ」ともいうべき別れが、いまもここにはあるのです。


卒業生が旅立っていく、そのとき。

二隻のボートが全速力でおがさわら丸を追いかけます。

一隻は、在校生の男子全員が応援団となって

4畳半はあろうかという大きな紅白の旗を雄々しく掲げています。

もう一隻は、チアの格好をした女子生徒が。


彼らは、去りゆく卒業生たちの名を力の限り叫びます。

そうして、今生の別れを惜しむのです。


太平洋に浮かぶ絶海の孤島、小笠原諸島父島。

この島の別れの春は、見る者すべての心を揺さぶります。

この文章は「とっておき!!のねごと。」からのものです。
http://www.totteoki.jp/negoto/

 - こんなの見つけた。, ねごと。, 旅先にて。