とっておき!!TOKYO

東京のおいしい店、いい店、安い店。ここは私の“とっておき!!”と、日々の些細な物事に感じたことをご紹介する場所です。

【とっておき!!】 松苑 (蕎麦・岩手県北上市)

   

野生の鴨から取っただしは、想像をはるかに超える
滋味深い味でした。

 

食べたのは「鴨せいろ」(1,100円)
灰汁がうっすらと浮くお椀の中には、薄く切られた
鴨肉が、ねぎとともにまばらに浮いています。

しかし少なく見えるこの鴨肉が、深いコクとうま味を
出していました。まさに濃厚。まさに野趣。それでいて
想像していた臭みはまったく感じられません。まさか
これほどとは予想もしなかった違いが、野生の鴨と
合鴨との間にはありました。

この野生の鴨を使った鴨せいろを出すのは、岩手県
中部・北上市郊外の一軒家。大きなバイパス沿いに
建つその店は、ともすれば通り過ぎてしまいそうな、
ごくごく普通の店構え。


よくある、蕎麦屋と言いながら蕎麦は脇役、丼物との
セットで成り立っているような、そんな店構えなのです。

しかしこの店は違います。メニューはほぼ蕎麦だけ。
丼物はおろか、うどんすらありません。

「もり」「ざる」「冷なめこ」「とろろ」「鴨せいろ」「天ざる」
冷たい蕎麦でいえばこの6点のみで、「鴨せいろ」が
加わっている形。それも別紙のメニューにわざわざ
“多くのお客様よりご要望のございました「鴨せいろ」”
と書いてあるところを見ると、要望に応え復活させた
特別メニューという扱いなのでしょう。

もちろん、この店を私が評価するのは、蕎麦自体も
かなりのレベルで洗練されたものだからです。


 

石臼引きで手打ちと、手間暇と技がかけられた
蕎麦は、色が濃いめであるぶん蕎麦特有の甘みと
香りがしっかりと残っていて歯ごたえじゅうぶん。
しかし田舎っぽさは微塵もありません。

 

追加で注文した「もり」に付いてきたつゆもしっかりと
したうま味と甘みがあって品が良く、東京の一流の
店に引けを取ることがありません。
かなりの修業を経た、まさに職人の蕎麦です。

お勧めはやはり「鴨せいろ」ですが、470円と安い
「もり」一枚でも蕎麦の醍醐味を十分堪能できる
でしょう。

次また行くならば、個人的にはぜひ「くるみ汁」(200円)
で蕎麦を堪能してみたいもの。
胡桃は岩手県民にとっては特別な御馳走の味だとの
ことで、雑煮の餅はわざわざ引っ張り出して胡桃の
タレにつけて食べるのが正式とされているほど。
その特別な胡桃味の蕎麦がいかなるものか、ぜひ
試してみたいものです。

そのほか「そばしるこ」や「沢内村特産ワラビ」など
ちょっとゆっくり腰を落ち着けてみたくなる興味深い
メニューも。

洗練された蕎麦と、野趣あふれる東北の味を同時に
楽しめる稀有な店として、今後東北・岩手を旅する
際には必ず立ち寄ってほしい、それほどの店です。

 

 

 

 

 

 

 

この文章は「渋谷とっておき!!」からのものです。
メニューや地図など詳しい情報は下のリンクからどうぞ。
http://www.totteoki.jp/shibuya/ 

 

 

 

 

 

 

松苑 そば(蕎麦) / 江釣子駅
夜総合点★★★★ 4.5
昼総合点★★★★ 4.5

 - そのほか, とっておき!!, 旅先編