とっておき!!TOKYO

東京のおいしい店、いい店、安い店。ここは私の“とっておき!!”と、日々の些細な物事に感じたことをご紹介する場所です。

【とっておき!!】 昭和館 (旅館・夏油温泉)

   

 

 

これぞまさに湯治場、まさに秘湯の趣です。

 

 

岩手県南西部にあるJR北上駅から古いバスに乗り、
木製の床に染みついたワックスの臭いとエンジンの
苦しげなうなりに身をゆだね、曲がりくねった山道を
揺られ続けること1時間以上。


ぱっと視界が開けたらそこは夏油(げとう)温泉。
標高650mの山中にひっそりとたたずむ秘湯です。

江戸時代の温泉番付で、東の大関だったこの温泉。
当時の相撲には横綱がありませんでしたからまさに
東日本の温泉の王者。西の大関が、病で餓鬼に
なった者をも救ったという熊野・湯の峯温泉ですから
夏油の効能も日本中に知れ渡っていたのでしょう。

昭和の初期に建てられた湯治場そのままのこの宿に
結局3泊4日の滞在をすることになったのは、とにかく
泉質の良さと俗世間から隔絶された秘湯の雰囲気。


温泉は、川のせせらぎに沿うように5か所で湧いて
いて、それぞれ泉質が違うとのこと。しかもすべてが
源泉に直結しているため、「大湯」のように50℃以上
の湯船もあります。


さすがにこの湯に全身つかるのは至難の技で、私も
足を入れては飛び上がり、結局はかかり湯をするの
が精一杯。
しかしそれでも2泊目から、全身のだるさとともに
身体の奥底で何かが変化していくのが感じられ、
全体が軽くなっていく感覚が。これが湯治というもの
だと初めて実感することができました。

ただ湯治といえば自炊のイメージですが、この宿は
食事つきが基本で、しかも料理が充実しています。


1泊2食8,000円が基本で、陶板焼に天ぷら、刺身に
川魚と至れり尽くせり。しかも東北の塩辛い味付け
ではなくちゃんと修業した料理人の味付けですから
満足感は非常に高いものとなっています。
ただ、量的にもあまりに豪華すぎ、さすがの私でも
食べきれないほど。翌日からは品数を少し減らして
もらったほどです。

またこの宿の食堂は昼も日帰り客など相手に営業
していて、うどんがメイン。


「手こねうどん」と名付けられた自家製うどんは
細い平麺でのど越しが非常によく、まただしも
甘みもあってかなりおいしいものでした。

部屋は外観から想像できるままのボロ部屋ですが、
料理と泉質の良さで何物にも代えがたい高コスト
パフォーマンスの宿となっています。

聞くとこの宿で働く女性も、がん治療後に後遺症で
這うようにしていたのがこの湯に毎日つかることで
すっかり元気を取り戻したとか。
ふだんの私なら眉唾ものとして取り合わないところ
ですがこの湯なら、と信じてしまいそうです。


ただ、残念なのは北東北の山中にあるため、冬は
雪に覆われてしまい、温泉が閉鎖されてしまうこと。

開業は5月初めから11月上旬までの半年とのことで、
この記事の掲載後すぐに閉鎖されることになります。

また春になったら身体を癒しにゆったりと訪れたい。

そんな気持ちにさせられる貴重な湯治場です。

 

 

 

 

この文章は「渋谷とっておき!!」からのものです。
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