とっておき!!TOKYO

東京のおいしい店、いい店、安い店。ここは私の“とっておき!!”と、日々の些細な物事に感じたことをご紹介する場所です。

【ねごと。】 「まやかしの夢」が復興を遅らせる。

   

 

震災から1年。

「復興」という言葉を、無責任に使う人間の多さに辟易します。

もはや元に戻せない、元に戻しても以前の生活には戻れない
のなら、そのことを誠意をもって説明し、勇気をもって新しい道を
示すことが真の「復興」であるはず。

なのにいまの日本には、新しい道を示そうとする人間がいない
ばかりか、現実を直視することまで否定しようという空気すら
感じられます。

 

とくに、福島第一原発事故の被災地に「まやかしの夢」を
見せるのは、もういいかげんやめたらどうでしょうか。

最大のまやかしは、「中間貯蔵施設」という言葉です。

国は各地の除染で出る放射性物質による汚染土を
原発の周囲の福島県双葉郡に集めて保管することを計画、
これを「中間貯蔵施設」と呼んでいます。

「中間」をつけたのは、30年後をめどに県外に運びだし、
そこで最終処分するとの建前から。

しかし誰がどう考えても、ほかの都道府県が最終処分施設を
受け入れてくれるなんてことなどあり得ません。

なのに「中間」という言葉を使うことは、裏切ることを最初から
予定しているようなもの。結局は被災者を愚弄することでしか
ないのです。

そしてもうひとつのまやかしは「除染」。

除染さえすれば、「警戒区域」や「計画的避難区域」の人々も
家に戻って元通りの生活ができるかのような論調で語られて
います。

しかし除染とは、単に汚染物質を右から左へと動かすだけ。
現在の技術では放射性物質を完全に取り除くことはできず、
根本的な解決にはなりません。

またたとえ一時的に放射線量が下がったとしても、残った
放射性セシウムであるセシウム137の半減期は約30年。
つまり30年たって半分、さらに30年でやっと4分の1にしか
なりません。

とくに高濃度の汚染地区にとって、除染は気休め程度にしか
ならないのです。

村全体が「計画的避難区域」に指定され、村民全員が避難
している福島県飯館村では、今後3,200億円をかけ除染を
するとしていますが、この金額は村民一人当たり5,000万円
以上にものぼります。

ならば除染などせずにその金を使って村全体で移住するか
個人にそれだけの資金を与えて自由に移住させるほうが
よほど生活の再建に役立つはず。

なのに除染すれば村に戻れると説き続けることは、不誠実で
あるばかりか、金の無駄遣いにもなりかねません。

現実を見据え、現在の感情や世の中のムードにとらわれる
ことなく、被災者の人々の将来がどうすればより良いものに
なるかを真摯に考えることが、いまの日本の政治やメディアに
求められることなのでしょう。

いま振り返ってみると、事故直後に東京電力をとりあえず
免責にしたほうが良かったのではないかとさえ思えてきます。

そうすれば被災者への賠償はもっとスピーディーだった
はずです。

もちろん、津波に対する備えをおろそかにしたという点で
東京電力に大きな責任はあるのですから、対応が一段落した
時点で資産売却やリストラなどの応分の負担はさせるべきです。

しかし、事故直後から東京電力にすべての責任を負わせたことで
賠償金の支払いは遅々として進まず、また賠償金を支払うために
電力料金の大幅な値上げは不可避となり、そのしわ寄せは
個々の家庭や企業に来ることになりました。

その影響は私たちの生活水準を下げ、企業の競争力を削ぎ、
結局のところ日本経済を低迷させることになります。
国の税収も下がることでしょう。

一方で国は、これまでに東電に対し1兆6,000億円もの支援をし、
さらに今後1兆円規模の資本注入をすることになっています。

ならば最初から国が前面に立って事故処理に当たり、
被災者への賠償を含めて速やかに資金を供給すれば、
ここまでの混乱と遅れ、さらには経済への悪影響はなかったの
ではないでしょうか。

結局は、政治が無責任だったのです。

菅直人や枝野幸男は、すべてを東京電力の責任とすることで
事故直後の政府の対応のまずさへの批判をかわそうとしました。

メルトダウンが迫る原発にヘリで乗り込み、出迎えた所長に
怒鳴り散らしただけの菅直人。一国の首相が来るというので
放射性物質を含んだ蒸気を逃がすベントが遅れたのではないか
という説は、あながちウソとも言いきれません。

彼に責任はないのでしょうか。

メルトダウンを懸念したアメリカからの支援を断り続けたという
枝野幸男。

彼に責任はないのでしょうか。

いま、いくら東京電力を非難したところで何も変わりません。

東京電力を潰せという論調は単なる腹いせ以上のものではなく、
被災者に対する補償はさらに遅れ、電力供給も一層不安定に
なるだけでいいことは何もありません。後ろ向きでしかないのです。

いまから考えるべきことは、被災した地域、被災者個人個人に
とって何がより良い「復興」なのかということ。

そして将来、より良い日本になるために何をすべきかなのです。


                                        (敬称略)

 

 

 

 

この文章は「とっておき!!のねごと。」からのものです。
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